研究科長挨拶
研究科長 溝口和宏
鹿児島大学大学院教育学研究科では教職に携わる高度専門職業人の育成を目的として、平成29年度に専門職大学院である教職大学院(学校教育実践高度化専攻)を設置しました。本教職大学院は、ディプロマ・ポリシーに以下の5つの資質能力を掲げ、教職に求められる深い専門的知識とそれを実践において活用・展開できる高い実践力をもった教員の育成を図っています。
《ディプロマ・ポリシー》
- 学校教員に求められる職務を責任感と倫理観をもって的確に実践できる能力
- 学校の教育課題に対し、学校の一員として協働して取り組み対応できる能力
- 自らの実践を理論に基づいて省察できる能力
- アクティブ・ラーニングの視点から授業改善やカリキュラム・マネジメントを考えることができる能力
- 学校教育に係る課題を設定し、解決のための方策を探究できる能力
また開設以来、学校や地域の教育課題、現代的教育課題の解決に向けて、「人と人」、「学校と学校」、「アイデアとアイデア」を「つなぐ」という発想のもと、教職大学院がもつコンサルテーション機能(多様な専門性を有する大学スタッフとの協働)とシンクタンク機能(多様な情報や事例・知恵の収集と活用)を教育現場で活用するという基本コンセプトを掲げています。
このコンセプトの実現、そしてディプロマ・ポリシーに掲げる資質能力の育成に向けて、カリキュラムは、学術的・専門的知見を学ぶ授業科目と、学校現場をフィールドとして探究する実習科目が有機的に連関し合うよう、「実習科目」「共通科目」「選択科目」「省察科目」という4つの科目群により編成しています。
「共通科目」では、教育課程の編成、教科の指導方法、生徒指導・教育相談、学級・学校経営、学校教育と教員、の各領域について学びます。また5領域全てに特別支援教育の科目を設けています。「実習科目」では、鹿児島県の地域特性や教育課題を踏まえ、附属学校での実習、離島へき地の小規模校や特色ある教育活動を展開する学校等での実習など、目的や環境を異にする多様な実習を用意しています。「選択科目」は、学生の関心やニーズに合わせて履修できる3つのプログラム(教科教育(教授―学習)プログラム、学校研究プログラム、特別支援教育プログラム)を設け、自身の探究テーマを深められるようにしています。そして「省察科目」では、個々人の探究テーマを軸としながら実習と授業での学びをつなぎ、省察を繰り返すことで、理論と実践の往還を図れるようになっています。
教師としての成長を願う多くのみなさんが、こうした本学での学びの体験を通じ、専門職としての力量を高め、様々な教育課題の解決に向けた実践力を培っていかれることを願っています。