第61回文化祭
今年も川商ホール(市民文化ホール)で,文化祭が開催されました。「繋げよう我らの伝統 感動で創る瑠璃色の未来」の文化祭スローガンの通り,次のステージにつながる,実り多き文化祭となりました。
【校長あいさつより】
「さて,今日は生徒の皆さんの演劇と合唱が披露されます。どちらも皆さんが一緒になって力を合わせて作り上げてきたものです。コロナの下,こういった,一緒に行うイベントがずっと制限されてきました。このことは大変つらいことですが,実は,演劇も合唱も,本番だけが全てではありません。
昨年出された本で,岡田暁生さんという音楽学者が書いた『音楽の危機 第九が歌えなくなった日』という本があります。第20回小林秀雄賞を受賞した本です。小林秀雄というのは20世紀を代表する批評家です。その人の名を冠にした賞です。また副題にある,第九というのはベートーヴェンの合唱付きの交響曲第9番です。年末には全国各地で演奏されるものでしたが,昨年はそれがかないませんでした。こういう状況にあって,岡田さんは次のように書いています。
「できあがった作品=ステージよりもはるかに面白いのは,実はステージを作り上げていくプロセス(つまり練習)なのではないか」
まだコロナ下にある今,この言葉はとても私たちを励ましてくれる力強い言葉だと思います。なぜなら,マスクをしながらの練習だったり,お互い距離をとって歌ったり,大声が出せなかったり,納得のいくまで時間をかけて練習をすることもできなかったりして,思うようにやれなかったことも多かったでしょう。でも,間違っても楽しかったり,次の練習が楽しみだったり,そして本番がくると終わるんだとさびしく思ったこともあったのではないでしょうか。岡田さんは,そいういった練習のプロセスが本当は本番よりもずっと面白いんだと言っているのです。
ということで,今日は,皆さんの,これまでの練習から本番までのプロセスをみんなで共有する日なのです。では,第61回文化祭を,今日までの練習を思い出しながら,じっくり味わってすごしましょう。」